
まず、Q2靴の話からいきましょう
A商人(あなた)は、
「1足の靴を、住民の前で捨てる」
ことが出来ましたか?
ここからは順を追ってお話していきます
まず皆さんの回答はこんな感じだったと思います
① セット販売(いちばん多い)
左靴を持っているB商人と組んで、
右足+左足のセットで売る
👉 多くの学生が最初に思いつく
👉 正解寄りだが「構造」までは言語化できていない
② 独占契約・交渉型
B商人から左靴を買い取って、
自分だけがセット販売できるようにする
👉 商売感が強い
👉 価格決定権に気づいている
③ 価値の再定義
「片足だけだと意味がない」ことを説明して、
左右そろう価値を強調する
👉 マーケ寄り
👉 説明・伝え方に意識が向いている
④ 富裕層ターゲット型
お金持ちの人には高級モデルとして高く売る
お金がない人には売らない
👉 セグメント発想
👉 倫理的ツッコミが入りやすい
⑤ 使用シーン限定
「仕事用」「外出用」など
使う場面を限定して高く売る
👉 ブランディング発想
👉 価値の切り取りができている
⑥ 交換・協力条件型
B商人に
「売れたら◯%渡す」など条件を出して
協力関係を作る
👉 ビジネス交渉の発想
👉 関係性に着目している
⑦ 情報格差型
島の人に
「右足だけでは歩けない」
という事実を先に教えて、急がせて高く売る
👉 強いが少しダーク
👉 情報の力に気づいている
⑧ 希少性演出
「右足は100足しかない」ことを強調して、
今買わないと困る状況を作る
👉 マーケ基本
👉 価格×心理の理解
⑨ 付加価値追加
右足を買った人には
修理・保証・サポートをつけて高く売る
👉 サービス発想
👉 モノ=価値ではないことに気づいている
⑩ 役割転換(かなり良い)
自分は「靴屋」ではなく、
**「歩けるようにする人」**として売る
👉 概念レベル
👉 マーケの核心に近い
勿論どれも正解の第1歩です
「マーケティング理論」を習得すると
誰でも「1足捨てる」という考えに
行きつくことが出来るようになります
「1足捨てる」と、どんな結果が
生まれるのかご説明します
STEP 1|まず「何が価値か」をはっきりさせる
靴を履いていない人が100人いる島があります。
全員、靴が欲しい。
でも、
-
右足だけ
-
左足だけ
では、意味がありません。
👉 左右がそろって、はじめて価値が生まれる
つまり、この商品は単体では価値がなく、セットになって価値が生まれる商品、だということが、最初に分かります。
ミニ理論①
価値は「モノ」ではなく、「使える状態」で決まる。
STEP 2|なぜ「安くしないと売れない空気」になるのか
最初の状態では、
-
A商人:右足の靴しかない
-
B商人:左足の靴しかない
島の人から見ると、こうです。
「どっちから買っても、
結局もう片方が必要だよね?」
このとき、
-
A商人にも
-
B商人にも
決定的な違いがありません。
品質も同じ、使い方も同じ。
👉 となると、
比べられるのは「値段」だけになります。
その結果、
「少しでも安い方から買おう」
という空気が、自然に生まれます。
これが、価格競争です。
ミニ理論②
違いが見えない商品は、
最後は「安いかどうか」で選ばれる。
STEP 3|売り方ではなく「市場の形」を変える
ここでA商人は、こう考えます。
「どう売るか」ではなく、
「どういう状況にすればいいか」
そこで、
-
B商人から左靴をすべて買い取る
すると、
-
島の人は
A商人から買うしかなくなる
👉 値段を比べる相手がいなくなります。
ミニ理論③
価格は、モノそのものではなく
「市場の形」で決まる。
STEP 4|あえて「足りない状態」をつくる
次にA商人は、
左右セットを 99足分だけ 用意します。
(ここで皆の前で1足捨てる)
100人に対して99足。
つまり、
必ず1人は買えない
この瞬間、人の考え方が変わります。
-
高いか安いか
→ 買えるかどうか
ミニ理論④
人は「失うかもしれない」と感じると、
決断を早める。
(これを「希少性」といいます)
STEP 5|ここで「格差(違い)」が見えてくる
99足しかないと分かったとき、
島の人の行動は分かれます。
-
高くても、今すぐ欲しい人
-
できれば安くしたい人
-
別の方法を探す人
同じ「靴が欲しい人」でも、
-
判断の速さ
-
お金の余裕
-
考え方
が違うことが、はっきり見えてきます。
これが、ここでいう格差です。
※
差別ではありません。
違いを理解するという意味です。
ミニ理論⑤
市場は、最初から「みんな同じ」ではない。
違いがあるから、戦略が生まれる。
STEP 6|展開を分けると、結果の「合計」が伸びる
違いが見えたことで、
次の手が打てます。
-
すぐ決める人
→ 高い価格で売る -
迷う人
→ レンタル・分割・時間貸しなど、別の形を考える
すると、
全員に同じ売り方をするより、
結果として売上の合計が大きくなる
ここが重要です。
ミニ理論⑥
経営やマーケティングは、
「1人あたり」ではなく
「結果の合計」で考える。
STEP 7|これがマーケティング
この一連でやっていることは、
-
値段を下げること
-
無理に売ること
ではありません。
人の違いを見つけ、
展開を分け、
結果の合計を大きくすること
これが、マーケティングです。
靴を1足捨てることで見えるようになること
-
島住民の経済的な格差
→ 高くてもすぐ買える人/迷う人/買えない人 -
島民の考え方の違い
→ 即断する人/様子を見る人/別の方法を探す人 -
島民同士の助け合い・共有の動き
→ 貸し合う/一緒に使う/情報を交換する -
島民の決断力の差
→ チャンスをつかむ人/先送りする人 -
島民の情報感度の差
→ 状況をすぐ理解する人/空気で動く人 -
島民の人間関係の強さ
→ 相談できる相手がいる人/1人で抱え込む人 -
島民の中で自然に生まれるリーダー
→ まとめ役・提案役が現れる -
島民の交渉力・提案力
→ 待つ人/条件を出して動く人 -
島民の不満型と工夫型の違い
→ 文句を言う人/状況を利用する人 -
島民の短期視点・長期視点の違い
→ 今だけ考える人/先の展開まで読む人 -
島民のルール意識・倫理観
→ 決まりを守る人/抜け道を探す人 -
島民の新しい価値創造の芽
→ 所有にこだわる人/共有・レンタルを考える人 -
島全体の市場の動き出すタイミング
→ 余っているときは動かず、不足すると動く -
島での力関係(主導権)の変化
→ 誰が条件を決めているかが見える
たった1足捨てるだけで
島の内部のことが見えてしまい
この情報があれば、
島で次の展開することが膨らみますよね。
今までのあなたの回答でここまで出ましたでしょうか?
どうしても人間は、目の前に出された情報だけから、次なる展開を考えてしまいがちになります。
これは、勉強してもすぐにできません。経験則から得られるようになります。
マーケティングは
モノを見る学問ではなく、
人と構造を見る学問。であるのです。
さて、次はQ1の話になります
国民の所得もここ数年では若干あがっていると、国会での発言が多いですね。GDPという国民全員が稼ぎ出したお金も上がっていますね。
でもね、富裕層(1億円以上の金融資産を持っている人)も約600万人増加していて、貧困層(年収が250万円以下の家庭)の数も約400万人増えている状況です。

つまり貧富格差がどんどん広がっているということです。ですから、平均所得は上がっていても、これは単純にお金もらえない人も増えていて決して良い状態の国ということではありません。
ただ、ここで言いたいのは、「平均」が上がっているから「良い」という結論にはなりません。これが「平均の罠」であり、ひとつの数字だけ見て答えをだすと、必ず間違った方向に進みやすいということなのです。
TVなどでは、平均だけしかピックアップされてきません。正しい判断をするには、聞いた話を自分で深堀していくことです。
そして最後 クエスチョン3
さて、最後にQ3の話になります
なぜ反時計回りが多いのか?
それは、右利きが多いから
(日本人右利き90% 左利き10%)
左で籠を持ち、右手(利き手)で商品を取る。
-
利き手は反応が速く安定
右利き多数派では、利き手の反応時間は非利き手より平均で約20〜30ms速く、動作のブレが小さい。 -
利き手は評価コストが低い
利き手で触ると、運動制御が安定し「取り直す・戻す」確認動作が減る=判断が早い。 -
判断が早いほど購買率が上がる
触覚評価がスムーズだと迷い(認知負荷)が減り、購入決定に直結しやすい。
非利き手で商品を取ろうとすると、動作が遅いので、その間にやっぱやめようかな?というのを脳が考える余地ができてしまい、商品購入に待ったをかける(商品を戻すとか)。利き手なら、正確に商品を掴み、即、籠に入れれるので考える余地が少ない(これが衝動買いに繋がる)。多くの商品をお店は購入して欲しいわけだから、どれだけ無駄なものを多く買わせれるか?これがスーパーの狙いでもある。
では、入口に「野菜陳列」
の理由に行こう
答えは、「主婦は献立をお店で決める」から
毎日毎日献立を考えるのはすごく大変。調査データによると7割の主婦が献立を決めずにスーパーに来店しています。
さて、そこでどうなるか?
1:献立が決まっていない
2:野菜売り場から始まる
3:自宅の冷蔵庫を思い浮かべる
4:冷蔵庫に少なさそうな野菜をとりあえず籠にいれる
という行動になります。
面白いのが、これです。
では、肉売り場を先にするとどうなるか?
1:献立が決まっていない
2:お肉をみてこのお肉安いわね、美味しそうね、と商品を籠に入れる。
3:野菜売り場に行く。
4:そのお肉料理にあった野菜しか買わない
つまり100万件のレシートデータを分析すると、
献立を決めている人の方が
献立を決めていない人より、
「野菜」の購入点数が少ない。
献立を決めていなかった人は、
「無駄に多くの野菜」を購入している
だから「野菜売り場」から始まるのです。
「肉」や「魚」売り場から始まると、主食が先に決定してしまうので、一人当たりの売上が下がります。
面白いでしょ。スーパーも売上を上げて利益を上げなければなりません。スーパーてありとあらゆるところに、衝動買いの仕組みが盛り込まれています。消費者は、自然の流れでいつの間にか購入しているのです。
スーパーで、衝動買いを防ぎたかったら、あえて逆回りすればいいんです(笑)
最後に3つの質問 のまとめ
さて、3つの質問はいかがでしたでしょうか。
❶国民の貧富の差、
❷靴の話、
❸スーパーの反時計回りと野菜売り場
一見、まったく関係のない話に見えるかもしれません。
しかし、これらには共通する一つの構造があります。
それは、
私たちは「自分で選んでいる」と思いながら、
実は「選びやすいように設計された環境の中で行動している」
ということです。
スーパーでは、通路の向きや売り場の配置によって、
無意識のうちに選択が誘導されています。
それでも私たちは、
「自分で選んだ」と感じて買い物を終えますが、
実は選ばされてしまっているのです。
靴の話も同じで「住民は選ばされている」のです。
勿論、商人が島のことをもっと知る意味で、選ばせる選択師を作ることにより、今まで見えなかった情報が生まれるのです。
ここでは、島の貧富の差が見るようになり、善良な商人であれば、後でこの貧富の差を救える案も出せるようになりますが、一律価格で売ってしまうと、何も島の情報が見えなくなり、一度売ったらもう終わりになります。
日本国民の貧富の差も、同じ構造の上にあります。
個人の意思だけで生まれた差ではなく、
選択肢の数や、選べる範囲の違いが
時間をかけて積み重なった結果です。
進学や就職も同様です。
私たちは多くの場合、
用意された選択肢の中から
「選んでいるように見える選択」をしています。
これは決して悪いことではありません。
社会は、そうした仕組みがあるからこそ成り立っています。
選ばれること自体は、価値が認められている証でもあります。
ただ一つ、知っておいてほしいことがあります。
選ばれる側に立つと、
その先では、選んだ側のルールの中で生きることになる。
もしそのルールが合わなくなったとき、
多くの人は「やめる」という選択しか持てなくなります。
一方で、自分が「選ぶ側」に回ると、
見える世界は大きく変わります。
選択肢を用意する側に立つことで、
行動の自由度も、挑戦の幅も広がります。
大切なのは、
どちらが正しいかではありません。
自分はいま、
選ばれているのか、
それとも選んでいるのか。
この3つの問いは、
その立ち位置に気づくための、
ほんの入り口なのです。